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グローバル資本主義に蹂躙されるこの世界に別の光をあて、別の論理をもちこみ、異郷化する運動への呼びかけとして立ち上がった「鉄犬ヘテロトピア文学賞」第2回受賞作。
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太宰治賞も受賞した井鯉こまさんによる小説、異国の地の空気を独特の文体が引き立てるコンとアンジの冒険譚。
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<選評 / 山内明美>
〈コン〉に会ったことがある、と思う。
いつか、アジアの安宿で居合わせた。
ある朝、私が宿の屋上で異国の景色を眺めていると、〈コン〉があがってきた。そうして、彼女は屋上の手すりにいたサルに手を出して咬まれたのだ。わたしの目の前でその「事件」は起きた。どうして、わざとそんなことをしたのだろう、と私には思われた。時々、その〈コン〉を思いだして、私は、どうしようもなく逆なでされる。
「租界」は、いつも、出会いを逆なでする。
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http://www.sunnyboybooks.jp/the-second-irondog-heterotopia-iteraryprize/
133mm×198mm / 169p / ハードカバー