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グローバル資本主義に蹂躙されるこの世界に別の光をあて、別の論理をもちこみ、異郷化する運動への呼びかけとして立ち上がった「鉄犬ヘテロトピア文学賞」第5回受賞作。
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舟を造ってトビウオ漁をし、捕ってきた魚と女たちが育てたイモを主食とする生活を長く続けてきた蘭嶼に生きるタオ族のこと。近代化で失ったタオ族(海洋民族)の伝統を取り戻すべく、タオ族の作家シャマン・ラポガンが挑んだ闘う文学。
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<選評 / 田中庸介>
難しいことを考えるためには、一度はものの考え方というものを学ばなければならないようだけれども、その学んだ考え方というものがそのまま自分の役に立つことはまれであって、ものの考え方の考え方を教えてもらったに過ぎないことに気がつくとき、やっとひとは自分でものを考え始めることができるのかもしれない。シャマン・ラポガンさんの『大海に生きる』は、台湾の沿岸にある蘭嶼という孤島に、オセアニアともつながるオーストロネシア語族の少数民族、タオ族として生を受けた著者が、漢民族あるいは西欧の思想を一度通過しつつも、精霊とともにあるタオ族の精神性の高さを、妻とともに受け入れるようになるまでの物語である。
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http://www.sunnyboybooks.jp/the-5th-irondog-heterotopia-iteraryprize/
128mm×188mm / 567p / ソフトカバー