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SOLD OUT
グローバル資本主義に蹂躙されるこの世界に別の光をあて、別の論理をもちこみ、異郷化する運動への呼びかけとして立ち上がった「鉄犬ヘテロトピア文学賞」最後の受賞作。
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東日本大震災で津波による甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市に移り住み、変わりゆく風景と人々の声を記録するアーティスト瀬尾夏美さんによる一冊。ある日、あの時からの7年間の記録は、書き留めなければ忘れてしまうかもしれない、ささやかだけれど本当に大切なことを見つめます。
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<選評 / 姜 信子>
『あわいゆくころ』の瀬尾夏美さんもまた一個の「旅する耳」でした。
震災の被災地へと向かい、被災地で暮らしはじめる、その日々の記録は、だんだんと「ほんとうのこと」に耳が開かれていく過程であり、その「耳」は小野和子さんとの出会いをとおして、みずからが聴き取った「ほんとうのこと」を訥々と語りだすきっかけと力を得たようでもありました。瀬尾夏美さんの出会う―聴くー呟く―出会うー聴く―呟く―出会うー聴くー呟く……、という愚直なまでの日々の営みは、震災から復興へとうつろう時の流れの中で、あるいは、日常と非日常のあわい、生と死のあわいの中で、人と人がつながりなおし、生きなおしてゆく物語の場を生みだしてゆく。そうやって声を聴いては日々生まれ変わってゆく若い「耳」の力は、ひそかに静かに蠢く声たちの希望です。
その他の選評はこちら
http://www.sunnyboybooks.jp/the-final-irondog-heterotopia-iteraryprize/
*サイン入(絵柄はランダムでのお届けです。)
133mm×193mm / 360p / ハードカバー