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11才の時の盗作事件について自身に非があると指摘し、生計をたてるためにヴァードヴィルの舞台に出演したことを賞讃し、ときに家庭教師であり生涯の友だったアン・サリヴァンとの関係に疑問を投げかけ、彼女の優生思想の考えに怒りをあらわにする・・・・そんなヘレンに対する著者の複雑な感情に戸惑いを覚えるかもしれません。
しかし読み進めていくうちに、この浮き沈むこころの流れこそが奇跡のひととして神話化したヘレン・ケラーの人生からいつの間にか削られてしまったものだと気づかされます。
そんな、彼女についての数ある自伝のなかで行間からこぼれ落ちた真実に、同じく障害者としてヘレンなき今を生きる著者の声が添えられることで出来上がった新しい物語。
133mm×188mm / 416p / ソフトカバー